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建築基準法では
地震や風圧力に抵抗するための壁の量(必要最小限の壁の長さの総合量)を規定しており、これを『耐力壁量』と呼んでいます。
耐力壁の量は外力(地震や台風)に抵抗する建物の強さ(抵抗力)に直結していて、この壁量が多いほど地震に強い建物となり、その強さを『等級』で表します。
例えば
建築基準法の規定された耐力壁量を【1.0倍】とした場合、その【1.5倍】以上で設計された住宅は『耐震等級3』の住宅に該当し、現代において最も地震に対して強い抵抗力を持った建物ということになります。
【耐震等級1】...建築基準法をクリアする程度の壁量[1.0倍超]で設計されたもの
【耐震等級2】...建築基準法をクリアする壁量[1.25倍超]で設計されたもの
【耐震等級3】...建築基準法をクリアする壁量[1.5倍超]で設計されたもの
現代は耐震等級3で設計されている住宅が多いですが、耐震等級2で設計されている住宅も少なくありません。
一般的な木造住宅の場合、耐力壁は主に2種類の構造に分かれます。
筋交いという斜材を取り付ける『筋交い耐力壁』と呼ばれるものと、柱間に合板など面材を張り付ける『面材耐力壁』と呼ばれるものです。
どちらも地震に抵抗する耐力壁と呼ばれるもの。
耐力壁の量(長さ)が多ければ多いほど地震に強く抵抗することが出来ます。
しかし、一番大事なことは
『この耐力壁がどの程度の品質で施工されているか...?』
建物の強さは施工品質により
大きく左右されてしまうのです。
以下は新築中の面材耐力壁の施工状態の写真。
地震に抵抗する耐力壁を『構造用面材』で施工したものです...が。
構造用面材は穴だらけ、釘止めはめり込みだらけだったり、釘ピッチが超テキトーだったりと、施工要領がまったく守られていないという欠陥工事の写真。
構造用面材は規定の釘仕様や釘ピッチが決められているのですが、この人事的な欠陥工事は地震時にどう影響するのでしょうか?
釘のパンチングアウト(釘抜け)やめり込み、規定通りの釘止めがされていないような品質で耐力壁を作られていた場合、地震に抵抗する壁の耐力は約35%ダウンすると言われています。
建築専門誌である日経ホームビルダーが特集した実物大実験では、釘が4㎜めり込むことにより耐力壁の抵抗力は約半減する結果となっています。
当然ですが、地震の揺れに対して十分に抵抗できるはずがありません。
欠陥工事による品質低下によって
予定していた耐震等級が低下。
全く違う耐力となるのです。
だから
地震後に壁やクロスに影響(歪み)が現われる。
2×4工法の住宅は釘と金物だけで構成されている住宅の為、釘のめり込み、ビスピッチも当然ですが、内部石膏ボードビスのピッチまで深く関わっていますので要注意なのです。
下の写真は
新築工事中の筋交い耐力壁の写真。
何がダメなのか?
分かりますか?
建基法にも記載されているとおり、筋交い材への欠き込みは厳禁となっているのですが
ホールダウンアンカーなどに干渉してしまい、干渉する部分を欠きとるといった無知・無学な現場がとても多いように感じます。
中には腐った木材を使用していたり、筋交い材の節が抜け(欠け)落ちてしまった品質の悪い材料を平気で使っている現場もあります。
また筋交いを補強する金物に不備がある場合、地震時は筋交いが外れる事となり、欠きこみや節等も含めて弱点となるため『やったつもり』では済まされないのです。
このような工事をされていると
地震後、歪みが発生することは必須。
東日本大震災後、2016年に熊本地震が発生しましたが、建て替えによる建設需要と反比例し、本当の職人と呼べる大工が減っているのが現状。
結果、昨今の住宅は手抜きやズサン工事が横行する時代となっています。
熊本地震では、2010年に建てられた比較的新しい住宅も本震にて倒壊。
これは軟弱地盤も関係していたようですが、調査の結果から1階と2階の柱の直下率の低さにも大きな原因があったようです。
手抜き工事やズサン工事をされた住宅は、100%の耐力で抵抗できないため、地震のあと必ず内壁や外壁の表面上に何かしらの症状が現れるのです。
日本は言わずと知れた地震の多い国。
過去、私たちの国は何回もの地震の被害を受け、悲惨な経験をしているのですが、地震の直撃を受けていない人たちは、時が経つにつれ地震に対する警戒心が薄れてしまいがちのように感じます。
地震によって自分の家がダメージを受けてからでないと『気が付かない』という現実なのではないでしょうか。
予定では耐震等級3の設計でも!
手抜きやズサンな施工をされてしまうと、耐震等級は低下するので要注意!
正しい施工であって、はじめて建物耐力は発揮されるもの。
『我が家は地震に強い』という『思い込み』だけでしたら...
それは地震の後に発覚するかもしれません。
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